中古住宅や中古マンションを購入してリノベーションしたいと考えたとき、悩みやすいのが「リノベーション費用をどう用意するか」です。
物件価格だけなら住宅ローンで考えやすいですが、リノベーション費用が500万円、800万円、1,000万円以上かかる場合、自己資金だけでまかなうのは簡単ではありません。
そこで選択肢になるのが、リフォーム一体型住宅ローンです。
リフォーム一体型住宅ローンとは、中古住宅の購入費とリフォーム・リノベーション費用をまとめて借りられるタイプの住宅ローンです。うまく使えれば、リノベ費用を別のリフォームローンで借りるよりも、月々の返済負担を抑えやすくなります。
ただし、誰でも簡単に使えるわけではありません。金融機関によって条件が異なり、工事見積書や請負契約書、物件の担保評価、工事内容なども審査に関係します。
この記事では、リフォーム一体型住宅ローンの仕組み、通常の住宅ローンやリフォームローンとの違い、中古住宅リノベで使うメリット、注意点、向いている人をわかりやすく解説します。
リフォーム一体型住宅ローンとは?
リフォーム一体型住宅ローンとは、中古住宅や中古マンションの購入費用と、購入後に行うリフォーム・リノベーション費用をまとめて借りられる住宅ローンのことです。
一般的な住宅ローンは、主に住宅の購入費用を借りるためのものです。一方、リフォーム費用を別で借りる場合は、リフォームローンを利用することがあります。
しかし、中古住宅購入と同時にリノベーションを行う場合、物件購入費と工事費を別々に借りると、手続きや返済管理が複雑になりやすくなります。
リフォーム一体型住宅ローンを使えば、物件購入費とリノベーション費用をまとめて一本化できる可能性があります。
中古住宅購入+リノベーションと相性がよいローン
リフォーム一体型住宅ローンは、特に次のようなケースと相性がよいです。
- 中古マンションを購入してフルリノベーションしたい
- 中古戸建てを購入して水回りや内装を大きく直したい
- 物件購入費とリノベーション費用をまとめて借りたい
- リフォームローンよりも長期・低金利で借りたい
- 自己資金を残しながらリノベーションしたい
中古住宅リノベでは、物件価格だけでなく、工事費、設計費、諸費用、引っ越し費用、家具・家電費用まで含めて考える必要があります。
そのため、購入前の段階から「いくらの物件を買えるか」だけでなく、「リノベーション費用を含めて総額いくらまでなら無理なく返せるか」を考えることが大切です。
通常の住宅ローン・リフォームローンとの違い
リフォーム一体型住宅ローンを理解するには、通常の住宅ローンやリフォームローンとの違いを押さえておくとわかりやすいです。
| ローンの種類 | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|
| 通常の住宅ローン | 住宅の購入費 | 金利が低めで長期返済しやすいが、リノベ費用を含められない場合がある |
| リフォーム一体型住宅ローン | 中古住宅購入費+リノベ費用 | 購入費と工事費をまとめて借りられる可能性がある |
| リフォームローン | リフォーム・リノベ費用 | 無担保型もあるが、住宅ローンより金利が高め・返済期間が短めになりやすい |
通常の住宅ローンとの違い
通常の住宅ローンは、住宅の購入資金を借りるためのローンです。
中古住宅を購入するだけであれば、一般的な住宅ローンで対応できることが多いです。
しかし、購入後に大きなリノベーションを予定している場合、通常の住宅ローンでは工事費まで含められないことがあります。
リフォーム一体型住宅ローンであれば、金融機関の条件を満たすことで、物件購入費とリノベーション費用をまとめて借りられる可能性があります。
リフォームローンとの違い
リフォームローンは、リフォームやリノベーション工事のために借りるローンです。
すでに住んでいる家をリフォームする場合や、住宅ローンとは別に少額の工事費を借りる場合には使いやすい選択肢です。
一方で、リフォームローンは住宅ローンよりも金利が高めになりやすく、返済期間も短めになりやすい傾向があります。
たとえば、1,000万円のリノベーション費用を短い期間で返済する場合、月々の負担がかなり重くなる可能性があります。
中古住宅購入と同時にリノベーションするなら、まずはリノベーション費用を住宅ローンにまとめられるか確認しておくとよいでしょう。
リフォーム一体型住宅ローンのメリット
リフォーム一体型住宅ローンには、中古住宅リノベーションと相性のよいメリットがあります。
メリット1:物件購入費とリノベ費用をまとめて借りられる
一番のメリットは、中古住宅の購入費とリノベーション費用をまとめて借りられる可能性があることです。
中古住宅リノベでは、物件価格だけでなく、内装工事、水回り交換、間取り変更、配管更新、断熱改修などにまとまった費用がかかります。
リフォーム一体型住宅ローンを使えれば、物件購入とリノベーションの資金計画を一体で考えやすくなります。
メリット2:リフォームローンより返済期間を長くしやすい
リフォームローンは返済期間が短めの商品も多く、借入額が大きいと月々の返済額が重くなりやすいです。
一方、リフォーム一体型住宅ローンは住宅ローンとして借りるため、返済期間を長く設定しやすい場合があります。
返済期間を長くできれば、毎月の返済額を抑えやすくなります。
ただし、返済期間が長くなるほど総返済額は増えやすくなるため、月々の負担だけでなく総額も確認しましょう。
メリット3:金利面で有利になりやすい
一般的に、住宅ローンはリフォームローンよりも金利が低めに設定されることが多いです。
そのため、リノベーション費用をリフォームローンで別に借りるより、リフォーム一体型住宅ローンにまとめた方が、金利負担を抑えやすい場合があります。
ただし、金利や手数料は金融機関や商品によって異なります。金利だけでなく、事務手数料、保証料、団体信用生命保険、繰上返済手数料なども含めて比較することが大切です。
メリット4:自己資金を残しやすい
リノベーション費用をすべて自己資金で支払うと、手元資金が大きく減ってしまいます。
住宅購入後は、引っ越し費用、家具・家電、カーテン、照明、エアコン、固定資産税など、想定外の出費も出やすいです。
リフォーム一体型住宅ローンを活用できれば、自己資金をすべて使い切らず、入居後の生活費や予備費を残しやすくなります。
メリット5:資金計画を一本化しやすい
住宅ローンとリフォームローンを別々に借りると、返済日や金利、残高管理が分かれます。
リフォーム一体型住宅ローンで一本化できれば、毎月の返済管理がしやすくなります。
家計全体を見ても、住居費としていくらかかるのか把握しやすくなる点はメリットです。
リフォーム一体型住宅ローンの注意点
便利な一方で、リフォーム一体型住宅ローンには注意点もあります。
注意点1:すべての金融機関で扱っているわけではない
リフォーム一体型住宅ローンは、すべての金融機関で利用できるわけではありません。
金融機関によっては、中古住宅購入費とリノベーション費用をまとめて借りられる商品を扱っていない場合があります。
また、同じような商品名でも、対象となる工事内容、必要書類、融資実行のタイミング、審査基準は異なります。
中古住宅リノベを前提に物件を探す場合は、不動産会社やリノベ会社だけでなく、金融機関にも早めに相談しておきましょう。
注意点2:工事見積書や請負契約書が必要になる
リノベーション費用を住宅ローンに含める場合、金融機関は「何にいくら使うのか」を確認します。
そのため、概算ではなく、工事内容がわかる見積書や請負契約書の提出を求められることがあります。
まだリノベ会社が決まっていない、工事内容が固まっていない、見積もりが出ていないという状態では、審査が進みにくくなることがあります。
注意点3:物件探しとリノベ見積もりを同時に進める必要がある
中古住宅リノベでは、物件を先に決めてからリノベーションを考えると、資金計画が崩れやすくなります。
たとえば、予算の大半を物件購入に使ってしまうと、やりたいリノベーションに十分な費用を回せないことがあります。
リフォーム一体型住宅ローンを検討する場合は、物件探しと同時にリノベ会社へ相談し、早めに概算費用を把握しておくことが重要です。
注意点4:融資実行のタイミングに注意する
中古住宅購入とリノベーション工事では、お金が必要になるタイミングが異なります。
物件代金は引き渡し時に支払う必要があります。一方、リノベーション工事費は、契約時、着工時、中間時、完工時などに分けて支払うケースがあります。
ローンの実行タイミングと工事費の支払いタイミングが合わない場合、一時的な自己資金やつなぎ資金が必要になることもあります。
契約前に、金融機関、リノベ会社、不動産会社へ支払いスケジュールを確認しておきましょう。
注意点5:借入額が増えるため審査は慎重になる
リノベーション費用まで借りると、物件購入費だけを借りる場合よりも借入額が大きくなります。
借入額が増えれば、年収に対する返済負担も大きくなります。
金融機関の審査では、年収、勤務先、勤続年数、雇用形態、既存借入、信用情報、物件の担保評価などが確認されます。
特に、車のローン、カードローン、リボ払い、奨学金などがある場合は、借入可能額に影響することがあります。
注意点6:リノベ後の価値がそのまま担保評価に反映されるとは限らない
リノベーションで室内をきれいにしても、金融機関の担保評価では、物件の築年数、立地、管理状態、専有面積、構造、流通性なども見られます。
中古マンションの場合、室内だけでなく、マンション全体の管理状況、修繕積立金、長期修繕計画、大規模修繕の履歴なども重要です。
「リノベーションすれば価値が上がるはず」と考えすぎず、購入する物件自体の資産性や管理状態も確認しましょう。
リフォーム一体型住宅ローンの審査で見られやすいポイント
リフォーム一体型住宅ローンの審査では、通常の住宅ローンと同じように、借りる人の返済能力と物件の担保評価が見られます。
さらに、リノベーション費用を含める場合は、工事内容や見積もりの妥当性も確認されやすくなります。
年収と返済比率
住宅ローン審査では、年収に対して年間返済額が大きすぎないかが見られます。
中古住宅リノベでは、住宅ローン返済だけでなく、マンションなら管理費・修繕積立金、戸建てなら将来のメンテナンス費用も考える必要があります。
借りられる金額ではなく、無理なく返せる金額を基準にしましょう。
勤続年数・雇用形態
会社員の場合でも、転職直後や勤続年数が短い場合は、金融機関によって審査が慎重になることがあります。
個人事業主やフリーランスの場合は、確定申告書や所得の安定性を見られやすくなります。
リノベーション費用まで借りたい場合は、通常より借入額が大きくなりやすいため、早めに事前審査を受けておくと安心です。
物件の築年数・担保評価
中古住宅は、新築よりも物件ごとの差が大きいです。
同じ価格帯でも、立地、築年数、管理状態、耐震性、修繕履歴によって、金融機関の評価が変わることがあります。
特に築年数が古いマンションや、管理状況に不安がある物件では、希望額まで借りられない可能性もあります。
リノベーション工事の内容と見積もり
リフォーム一体型住宅ローンでは、リノベーション工事の内容も重要です。
単なる家具・家電の購入費や、住宅と関係の薄い費用は対象外になることがあります。
どこまでローンに含められるかは金融機関によって異なるため、見積もりの段階で確認しておきましょう。
【フラット35】リノベとの違い
中古住宅購入+リノベーションでは、【フラット35】リノベを検討する人もいます。
【フラット35】リノベは、中古住宅の購入とあわせて一定の要件を満たすリフォームを行う場合などに、【フラット35】の借入金利の引き下げを受けられる制度です。
ただし、【フラット35】リノベを利用するには、通常の【フラット35】の基準に加えて、リフォーム内容や住宅性能などの要件を満たす必要があります。
つまり、リフォーム一体型住宅ローンは「購入費と工事費をまとめて借りる考え方」であり、【フラット35】リノベは「一定要件を満たす中古住宅取得+リフォームで金利引き下げを受けられる制度」と考えるとわかりやすいです。
利用できるかどうかは、物件、工事内容、金融機関、申込時期によって変わるため、検討時点の最新情報を確認しましょう。
住宅ローン控除やリフォーム減税は使える?
中古住宅リノベでは、住宅ローン控除やリフォーム減税が使えるかも気になるところです。
一定の要件を満たすリフォーム・増改築では、住宅ローン減税の対象になる可能性があります。
ただし、住宅ローン控除やリフォーム減税には、床面積、工事内容、工事費、借入期間、居住開始時期、所得要件、証明書類などの条件があります。
また、リフォームや買取再販住宅で税制優遇を受ける場合、増改築等工事証明書などの書類が必要になることがあります。
制度は年度によって変更されることがあるため、実際に利用する場合は、国土交通省、税務署、金融機関、リノベ会社などに確認しておきましょう。
リフォーム一体型住宅ローンに向いている人
リフォーム一体型住宅ローンは、すべての人に必要なローンではありません。
向いているのは、次のような人です。
- 中古住宅や中古マンションを購入して大きくリノベーションしたい人
- リノベーション費用を自己資金だけでまかなうのが難しい人
- 物件購入費と工事費をまとめて長期返済したい人
- リフォームローンの月々返済が重いと感じる人
- 物件探しとリノベ会社選びを同時に進められる人
- 見積書や工事内容を早い段階で準備できる人
特に、フルリノベーションや水回りを含む大規模リノベーションを考えている場合は、早めに検討したい選択肢です。
リフォーム一体型住宅ローンに向いていない人
一方で、次のような人は慎重に検討した方がよいです。
- リノベーション内容がまだまったく決まっていない人
- 工事費の見積もりを出す前に物件だけ決めたい人
- 借入額をできるだけ小さくしたい人
- 短期間で返済したい人
- 小規模な部分リフォームだけを考えている人
- すでに住宅を所有していて、購入を伴わないリフォームをしたい人
少額のリフォームであれば、自己資金やリフォームローンの方がシンプルな場合もあります。
また、すでに所有している住宅をリフォームするだけの場合は、購入費とセットにする必要がないため、別のローンや補助金、減税制度を検討した方がよいこともあります。
リフォーム一体型住宅ローンで失敗しないための進め方
リフォーム一体型住宅ローンを使う場合は、物件探し、リノベーション計画、ローン相談を同時に進めることが重要です。
1. まず総予算を決める
最初に決めたいのは、物件価格ではなく総予算です。
中古住宅リノベでは、次の費用をまとめて考える必要があります。
- 物件購入費
- リノベーション工事費
- 設計費
- 仲介手数料
- 登記費用
- ローン手数料・保証料
- 火災保険・地震保険
- 引っ越し費用
- 仮住まい費用
- 家具・家電・カーテン費用
たとえば、総予算が5,000万円なら、物件に4,500万円使ってしまうと、リノベーションや諸費用に回せる予算が不足する可能性があります。
2. 物件探しと同時にリノベ会社へ相談する
中古住宅リノベでは、気になる物件が出てきた段階で、リノベ会社にも相談するのがおすすめです。
リノベ会社に見てもらうことで、希望する工事ができるか、どのくらい費用がかかりそうか、注意すべき構造や管理規約があるかを確認しやすくなります。
特に中古マンションでは、管理規約によって工事内容、床材、配管、電気容量、工事時間などが制限されることがあります。
3. 金融機関へ早めに相談する
リフォーム一体型住宅ローンを扱っているか、リノベーション費用をどこまで含められるか、必要書類は何かを早めに確認しましょう。
金融機関によって、見積書の精度、工事請負契約書の有無、融資実行のタイミング、対象となる費用の範囲が異なります。
物件の契約直前になってから確認すると、希望していた借り方ができないこともあります。
4. 月々返済額と総返済額を確認する
リフォーム一体型住宅ローンは、リノベーション費用まで含めて借りられる分、借入額が大きくなりやすいです。
月々返済額だけを見ると問題なさそうでも、金利上昇リスクや将来の教育費、老後資金、修繕費を考えると負担が重くなることがあります。
変動金利を選ぶ場合は、金利が上がった場合の返済額もシミュレーションしておきましょう。
リフォーム一体型住宅ローンを使う前のチェックリスト
- 物件価格ではなく、リノベ費用込みの総予算を決めたか
- リノベーション費用の概算見積もりを取ったか
- 金融機関がリフォーム一体型住宅ローンを扱っているか確認したか
- リノベ費用をどこまでローンに含められるか確認したか
- 工事見積書や請負契約書など必要書類を確認したか
- 物件代金と工事費の支払いタイミングを確認したか
- 管理費・修繕積立金も含めて月々の住居費を計算したか
- 住宅ローン控除やリフォーム減税の条件を確認したか
- 補助金を使える可能性があるか確認したか
- 家具・家電・引っ越し費用を残しているか
まとめ:リフォーム一体型住宅ローンは中古住宅リノベの有力な選択肢
リフォーム一体型住宅ローンは、中古住宅の購入費とリノベーション費用をまとめて借りられる可能性があるローンです。
中古マンションや中古戸建てを購入して、自分たちらしい住まいにリノベーションしたい人にとって、有力な資金計画の選択肢になります。
特に、フルリノベーションや水回りを含む大規模工事を考えている場合、リフォームローンを別に組むよりも、月々の返済負担を抑えやすい場合があります。
ただし、金融機関によって条件は異なり、工事見積書や請負契約書、物件の担保評価、融資実行のタイミングなど、確認すべきポイントも多くあります。
中古住宅リノベで後悔しないためには、物件探し、リノベーション計画、ローン相談を同時に進めることが大切です。
「いくら借りられるか」だけでなく、「リノベ費用まで含めて無理なく返せるか」を基準に、安心できる資金計画を立てていきましょう。
※住宅ローンやリフォーム一体型住宅ローン、住宅ローン控除、リフォーム減税などの条件は、金融機関や制度改正によって変わることがあります。実際に利用する際は、金融機関、国土交通省、住宅金融支援機構、税務署、リノベーション会社などの最新情報をご確認ください。