マンションリノベーションの事例を見るとき、多くの人がまず注目するのは写真です。
「おしゃれなLDKにしたい」
「アイランドキッチンに憧れる」
「和室をなくして広いリビングにしたい」
こうしたイメージはとても大切です。
ただし、マンションリノベーションで本当に見るべきなのは、完成写真だけではありません。むしろ大切なのは、もともとの間取りから何を変えて、なぜその形にしたのかです。
同じように見えるリノベーション事例でも、もとの間取り、構造、配管、管理規約、家族構成によって、できること・できないことは変わります。
この記事では、マンションリノベーションでよくある間取り変更の事例を、ビフォーアフターの考え方とあわせて解説します。
リノベーションの基本から整理したい方は、先にリノベーションとは?リフォームとの違いも参考にしてください。
マンションリノベーションの間取り事例は「完成後」だけで見ない
マンションリノベーションの事例を見るときは、完成後の写真だけで判断しないことが大切です。
もちろん、完成写真を見ると空間の雰囲気はつかみやすくなります。床材、壁紙、照明、キッチン、家具の配置など、理想のイメージを膨らませるには役立ちます。
しかし、間取りの良し悪しは写真だけでは分かりません。
たとえば、写真では広く見えても、実際には収納が少なかったり、生活動線が悪かったり、家具を置くと通路が狭くなったりすることがあります。
特にマンションの場合は、一戸建てと違って自由に間取りを変えられるわけではありません。
- 壊せない壁がある
- 水回りを動かしにくい
- 床材に制限がある
- 換気経路や排水勾配に制約がある
- 管理規約で工事内容が制限される
このような条件があるため、事例を見るときは「おしゃれかどうか」だけではなく、どの制約の中で、どんな工夫をしているかを見ることが重要です。
マンションリノベーションでよくある間取り変更パターン
マンションリノベーションでは、間取り変更のパターンにある程度の傾向があります。
特に多いのは、以下のような変更です。
| 間取り変更パターン | 目的 | 注意点 |
|---|---|---|
| 和室をなくしてLDKを広げる | リビングを広く使う | 収納不足にならないか確認 |
| 壁付けキッチンを対面化する | 家族との会話・開放感 | 配管・換気経路の確認が必要 |
| 3LDKを2LDKにする | LDKや収納を広げる | 将来の個室不足に注意 |
| 廊下を減らす | 有効面積を増やす | プライバシーや音の伝わり方に注意 |
| 水回りは動かさず内装中心で変える | 費用を抑える | 大きな間取り変更はしにくい |
ここからは、それぞれのパターンを具体的に見ていきます。
事例1:和室をLDKに取り込んで広いリビングにする
中古マンションで非常に多いのが、リビング横の和室をなくしてLDKを広げるリノベーションです。
築年数のあるマンションでは、リビングの隣に6畳前後の和室がある間取りがよくあります。昔ながらの3LDKに多い形です。
ビフォーのよくある間取り
- リビング横に和室がある
- 和室が独立しすぎて使いにくい
- リビングがやや狭く感じる
- 押し入れがあるが、収納の使い勝手が古い
- 襖や畳が今の暮らしに合わない
アフターの変更例
- 和室の壁や襖を撤去
- LDKと一体化して広いリビングにする
- 押し入れをクローゼットや収納に変更
- 畳からフローリングに変更
- 必要に応じてワークスペースやキッズスペースを設ける
和室をLDKに取り込むと、リビングの開放感はかなり変わります。
特に子育て世帯では、子どもが遊ぶスペースをLDK内に確保しやすくなります。夫婦2人暮らしでも、ソファやダイニングをゆったり配置できるため、暮らしやすさを感じやすい変更です。
一方で注意したいのは、和室をなくすことで収納が減ることです。
押し入れを撤去してリビングを広げると、見た目はすっきりします。しかし、布団、季節家電、子どものおもちゃ、日用品のストックなどをしまう場所がなくなると、結局リビングが散らかりやすくなります。
和室をなくす場合は、単に広くするだけでなく、収納計画もセットで考えることが大切です。
事例2:壁付けキッチンを対面キッチンに変更する
キッチンの間取り変更も、マンションリノベーションで人気があります。
特に多いのが、壁付けキッチンを対面キッチンやアイランド風のキッチンに変更するパターンです。
ビフォーのよくある間取り
- キッチンが壁向き
- 料理中にリビングが見えない
- ダイニングとのつながりが弱い
- キッチンが暗い、孤立している
- 家事動線が古い
アフターの変更例
- キッチンを対面式にする
- リビングダイニングとつながる配置にする
- カウンターを設ける
- 背面収納を増やす
- アイランドキッチン風に見せる
対面キッチンにすると、料理をしながら家族と会話しやすくなります。小さな子どもがいる家庭では、リビングを見守りながら作業できる点もメリットです。
ただし、マンションでキッチンを大きく移動する場合は注意が必要です。
特に確認したいのは、以下の3つです。
- 排水管の勾配が取れるか
- 換気ダクトの経路を確保できるか
- 床下に十分なスペースがあるか
キッチンは見た目だけでなく、給排水や換気と深く関係しています。そのため、「この位置にキッチンを置きたい」と思っても、構造や設備の条件によって難しい場合があります。
また、対面キッチンにすると、リビング側からキッチンが見えやすくなります。生活感を隠したい場合は、腰壁を立てる、手元を隠す、背面収納を充実させるなどの工夫が必要です。
キッチンの配置で迷っている方は、キッチンレイアウトの種類とリノベで後悔しない選び方もあわせて確認しておくと安心です。
事例3:3LDKを2LDKにしてLDKと収納を広げる
中古マンションでは、3LDKを2LDKに変更するリノベーションもよくあります。
特に70平米前後のマンションでは、3LDKのままだと各部屋がやや狭く、LDKもコンパクトに感じることがあります。
ビフォーのよくある間取り
- 3LDKだが各部屋が狭い
- LDKが12〜14畳程度でやや窮屈
- 使っていない個室がある
- 収納が分散して使いにくい
- 家族構成に対して部屋数が多い
アフターの変更例
- 個室を1つ減らしてLDKを広げる
- 大きなウォークインクローゼットを作る
- 書斎やワークスペースを設ける
- 主寝室を広くする
- 回遊動線を作る
3LDKを2LDKにすると、空間にかなりゆとりが出ます。
夫婦2人暮らしや子どもが1人の家庭、在宅ワークが多い家庭では、部屋数よりもLDKや収納の広さを優先した方が暮らしやすいケースもあります。
ただし、将来的な家族構成の変化には注意が必要です。
たとえば、今は夫婦2人でも、将来子どもが増える可能性がある場合や、親の介護、在宅ワークの増加などを考えると、個室を減らしすぎると後悔することがあります。
3LDKを2LDKにする場合は、将来的に仕切れる余地を残すのも一つの方法です。
たとえば、広いLDKの一部に可動間仕切りを設けたり、将来個室化できる位置に照明やコンセントを計画したりすると、暮らし方の変化に対応しやすくなります。
事例4:廊下を減らして有効面積を増やす
マンションリノベーションでは、廊下を短くして部屋や収納に面積を回す事例もあります。
専有面積は同じでも、廊下が長いと実際に使える空間が少なく感じることがあります。特に築年数のあるマンションでは、玄関から各部屋へ長い廊下が続く間取りも少なくありません。
ビフォーのよくある間取り
- 玄関から長い廊下がある
- 廊下に面積を取られている
- 各部屋が細かく区切られている
- 収納が少ない
- リビングまで距離がある
アフターの変更例
- 廊下を短くする
- 玄関からLDKへつながる動線にする
- 廊下面積を収納に変える
- ファミリークローゼットを設ける
- リビングアクセス型の間取りにする
廊下を減らすと、同じ面積でも広く感じやすくなります。
ただし、廊下を減らしすぎると、玄関からリビングが丸見えになったり、個室のプライバシーが弱くなったりすることがあります。
また、リビングを通って各部屋へ行く間取りにすると、家族のコミュニケーションは増えますが、来客時や思春期の子どもがいる場合には気になることもあります。
廊下を減らす場合は、開放感とプライバシーのバランスを考えることが大切です。
事例5:水回りは動かさず、内装と収納で暮らしやすくする
すべてのリノベーションで大きな間取り変更が必要なわけではありません。
マンションによっては、水回りを動かさず、内装や収納、建具の変更だけで十分暮らしやすくなることもあります。
ビフォーのよくある間取り
- 間取り自体は大きく悪くない
- キッチンや浴室の位置はそのままでよい
- 内装が古く見える
- 収納の使い勝手が悪い
- 建具や床材の印象が古い
アフターの変更例
- 床・壁・天井を一新する
- キッチンや洗面台を交換する
- 収納内部を作り替える
- 建具を交換する
- 照明計画を見直す
水回りを大きく動かさないリノベーションは、費用を抑えやすいのがメリットです。
間取り変更は費用にも影響します。予算の考え方は、リノベーション費用はいくら?予算オーバーしない考え方で詳しく解説しています。
特にマンションでは、キッチンや浴室、洗面、トイレの移動に制約が出やすいため、無理に動かさない判断も現実的です。
「間取り変更をしないとリノベーションらしくない」と考える必要はありません。
今の間取りを活かしながら、床材、壁紙、照明、収納、建具を見直すだけでも、暮らしやすさは大きく変わります。
マンションリノベーションで間取り変更しやすい場所・しにくい場所
マンションリノベーションでは、変更しやすい場所と変更しにくい場所があります。
| 場所 | 変更しやすさ | 補足 |
|---|---|---|
| 内装材 | 変更しやすい | 床・壁・天井・建具など |
| 収納 | 比較的変更しやすい | 押し入れからクローゼット化など |
| 間仕切り壁 | 条件次第 | 構造に関係しない壁なら撤去しやすい |
| キッチン | 条件次第 | 給排水・換気経路の確認が必要 |
| 浴室・洗面・トイレ | 動かしにくい | 排水や床下スペースの制約が大きい |
| 窓・玄関ドア | 基本的に変更しにくい | 共用部分扱いになることが多い |
マンションでは、専有部分と共用部分の違いも重要です。
室内に見えるものでも、窓や玄関ドア、バルコニーなどは共用部分にあたることが多く、自由に交換できないケースがあります。
また、間仕切り壁もすべて撤去できるわけではありません。構造に関わる壁や梁、柱は動かせないため、事前確認が必要です。
中古マンションを購入してリノベするか迷っている方は、中古マンションリノベはやめた方がいい?向いている人・向いていない人も参考になります。
間取り事例を見るときのチェックポイント
マンションリノベーションの間取り事例を見るときは、次のポイントを確認しましょう。
間取り事例を見るときのチェックリスト
- もとの間取りは何LDKだったか
- どの壁を撤去・移動しているか
- 水回りを動かしているか
- 収納量は増えているか、減っているか
- 家族構成に合った間取りか
- 将来の暮らし方の変化に対応できるか
- 管理規約や構造上の制約をどうクリアしているか
- 写真では見えない生活動線がどうなっているか
完成写真だけを見ると、どうしても見た目に意識が向きます。
しかし、実際に暮らしてから満足度を左右するのは、収納、動線、音、採光、コンセント、家具配置などです。
写真で「素敵」と感じた事例こそ、間取り図やビフォーの状態もあわせて確認することが大切です。
家族構成別に見るマンションリノベーションの間取りの考え方
マンションリノベーションでは、家族構成によって向いている間取りが変わります。
夫婦2人暮らしの場合
夫婦2人暮らしなら、部屋数よりもLDKの広さや収納、趣味スペースを重視しやすくなります。
3LDKを2LDKにして、ゆったりしたLDKと大きな収納を作る事例も向いています。
ただし、将来的に親族が泊まる可能性や、在宅ワーク用の個室が必要になる可能性も考えておくと安心です。
子育て世帯の場合
子育て世帯では、LDKの広さと収納、子ども部屋の数が重要です。
小さいうちは広いLDKやリビング横のスペースが便利ですが、子どもが成長すると個室が必要になります。
そのため、最初から完全に個室をなくすのではなく、将来的に仕切れる余地を残すと使いやすくなります。
在宅ワークがある場合
在宅ワークがある家庭では、ワークスペースの位置が大切です。
リビングの一角にデスクを作る方法もありますが、オンライン会議が多い場合は、音や背景、家族の動線も考える必要があります。
広いLDKにするだけでなく、集中できる小さな個室や半個室を作るのも有効です。
老後を見据える場合
将来の暮らしやすさを考えるなら、段差、動線、収納の位置、水回りへのアクセスも重要です。
廊下を広くする、引き戸を採用する、寝室からトイレまでの距離を短くするなど、年齢を重ねても暮らしやすい間取りを考えておくと安心です。
ビフォーアフターで見るときは「なぜ変えたか」を見る
マンションリノベーションのビフォーアフターを見るときは、単に「変わった」という結果だけでなく、なぜその変更をしたのかを見ることが大切です。
たとえば、和室をなくした事例でも、
- LDKを広げるため
- 子どもの遊び場を作るため
- 在宅ワークスペースを作るため
- 収納を増やすため
- 将来の介護を考えるため
など、目的はさまざまです。
目的が違えば、正解の間取りも変わります。
自分の家でも同じ変更が合うとは限らないため、「この事例は自分たちの暮らしに近いか」という視点で見ることが大切です。
マンションリノベーションの間取り変更で後悔しやすいポイント
間取り変更は満足度を大きく左右しますが、失敗すると後悔も大きくなります。
よくある後悔は次のようなものです。
収納を減らしすぎた
LDKを広くするために収納を減らすと、暮らし始めてから物があふれやすくなります。
特にマンションは外部収納が少ないため、室内収納の計画が重要です。
キッチンを移動したら費用が高くなった
キッチン移動は見た目の変化が大きい一方で、給排水や換気の工事が必要になるため費用が上がりやすい部分です。
移動する価値があるか、既存位置を活かせないかを比較することが大切です。
部屋数を減らしすぎた
3LDKを2LDKにすると開放感は出ますが、将来的に個室が足りなくなることがあります。
子どもの成長、在宅ワーク、親の宿泊なども考えておきましょう。
おしゃれさを優先しすぎた
写真映えする間取りでも、生活動線が悪いと暮らしにくくなります。
見た目と実用性のバランスが大切です。
マンションの制約を後から知った
「この壁は壊せない」「床材が使えない」「水回りが動かせない」など、後から制約を知ると計画が大きく変わります。
物件購入前、またはリノベ会社への相談前に、管理規約や図面を確認しておくことが大切です。
間取り事例から自分に合うリノベーションを考えるコツ
間取り事例は、真似するためだけに見るものではありません。
大切なのは、自分たちの暮らしに置き換えて考えることです。
たとえば、以下のように考えると判断しやすくなります。
| 事例で見るポイント | 自分の家で考えること |
|---|---|
| 広いLDK | 本当にリビングを広げたいのか |
| 対面キッチン | 料理中に家族と会話したいのか |
| 大きな収納 | 何をどこにしまいたいのか |
| ワークスペース | 毎日使うのか、たまに使うのか |
| 個室を減らす | 将来の部屋数は足りるか |
事例を見るほど理想は広がりますが、すべてを取り入れる必要はありません。
むしろ、「これは自分たちには必要ない」と判断できることも、リノベーションでは大切です。
施工事例を見るときの全体的なポイントは、マンションリノベーション事例の見方でも解説しています。
マンションリノベーションの間取り事例を見る前に準備したいこと
リノベーション会社に相談する前に、以下を整理しておくと話がスムーズです。
相談前に整理したいこと
- 現在の不満はどこか
- 広くしたい場所はどこか
- 減らしてもよい部屋はあるか
- 絶対に必要な収納はどれくらいか
- キッチンや水回りを動かしたいか
- 将来の家族構成はどう変わりそうか
- 予算の上限はいくらか
- 優先順位は何か
「とにかくおしゃれにしたい」だけだと、判断が難しくなります。
それよりも、「今の暮らしで何に困っているのか」「何を変えれば暮らしやすくなるのか」を整理した方が、満足度の高い間取りになりやすいです。
マンションリノベーションの間取り事例は、制約と工夫を見るのが大切
マンションリノベーションでは、すべてを自由に変えられるわけではありません。
しかし、制約があるからこそ工夫が生まれます。
- 水回りを動かさずにキッチンを使いやすくする
- 壊せない壁を収納やワークスペースに活かす
- 和室をなくしてLDKを広げつつ収納を確保する
- 廊下を減らして有効面積を増やす
- 将来仕切れる余地を残して2LDK化する
このように、よい間取り事例には「見た目」だけではなく「暮らしに合う理由」があります。
施工事例を見るときは、写真の雰囲気だけでなく、ビフォーアフターの間取り、家族構成、工事範囲、費用感まであわせて確認しましょう。
まとめ:マンションリノベーションの間取り事例は、暮らし方から見る
マンションリノベーションの間取り事例を見るときは、完成写真だけで判断しないことが大切です。
和室をLDKに取り込む、壁付けキッチンを対面化する、3LDKを2LDKにする、廊下を減らすなど、よくある変更にもそれぞれメリットと注意点があります。
大切なのは、自分たちの暮らしにとって何が必要かを考えることです。
写真では素敵に見える間取りでも、収納が足りなかったり、将来の個室が不足したり、マンションの制約で実現が難しかったりすることがあります。
事例を見るときは、以下を意識しましょう。
- もとの間取りから何を変えたか
- なぜその変更をしたのか
- 水回りや構造の制約はどうなっているか
- 収納や動線は暮らしに合っているか
- 自分たちの家族構成でも使いやすいか
- 将来の暮らし方に対応できるか
マンションリノベーションの間取りは、見た目よりも暮らし方に合っているかが重要です。
事例を参考にしながら、自分たちにとって無理のない、長く心地よく暮らせる間取りを考えていきましょう。